イタリア旅行記 その⑰(番外編;永遠の都ローマ展)

イタリア旅行記 その⑰(番外編;永遠の都ローマ展)

令和5年10月

takachan

今年(2023年)は、明治政府が派遣した「岩倉使節団」がイタリア ローマにあるカピトリーノ美術館を訪ねて150年目の節目にあたるという。同 美術館は世界的に最も古い美術館の一つに数えられている(1471年開館:同 展覧会カタログから引用)。  ローマの姉妹都市である東京で、同美術館のコレクションの数々をまとめて紹介するという今回の「永遠の都ローマ展(東京都美術館)」を家内とともに鑑賞してきた。

2002年のイタリア旅行の際 ローマでは美術館を訪れる機会がなかったので、今回の展覧会はとても楽しみであった。最近聴講しているNHK文化センターの講座で「永遠の都ローマ展に行こう!」(講師:上智大学名誉教授豊田浩志氏)に出席し予習をしたうえでの鑑賞だ。

豊田先生の講座から引用させていただくと、カピトリーノ美術館はローマ市立の美術館でその歴史は前述のように1471年にまでさかのぼる。この年 ローマ教皇シクストゥス4世が当時教皇庁があったラテラノ宮に保管(というか雨ざらしで放置)されていた古代ローマのブロンズ像などを、ローマ市民に寄贈(返還)したことがこの美術館の始まりとのことだ。

この時「返還された」美術品には現在もカピトリーノ美術館の名品とされる「コンスタンティヌス大帝の巨像の頭部*」「とげを抜く少年」「カピトリーノの雌狼*」「マルクス・アウレリウス騎馬像」などがあった。(*今回展示あり)

カンピドリオ広場と、カピトリーノ美術館
-ネット検索-

カピトリーノ美術館は、ミケランジェロが設計したカンピドリオ広場を囲むように右にカピトリーノ美術館、中央の大神殿跡にローマ市庁舎、左に新宮殿の建物がコの字型に配置されている。カンピドリア広場の地下には各建物をつなぐ通路があり、これが石碑のギャラリーともなっている。地下通路を東へ抜けたところには古代ローマの公文書保存所があり、ここからはフォロ・ロマーノを俯瞰することができる。

カピトリーノ美術館 立体図
-豊田先生資料より:拡大してご覧ください-

美術館の主会場はPIANO1(日本流には2F)さらにPIANO2(3F)は絵画館、屋上テラスにはレストランがありここからの眺望は素晴らしいとのこと。

実際にカピトリーノ美術館を訪れる機会があれば、 是非これらの見どころをすべてまわりたいところ。 ただ豊田先生いわく、美術館の主会場(PIANO1)をまわるだけでもクタクタになるとのこと。

さて、展覧会の展示からいくつかご紹介してみよう。(展覧会は撮影禁止のため、以下の写真は展覧会ホームページ他のネット検索より)

カピトリーノの雌狼
ローマ市庁舎蔵-

王政ローマ(紀元前8世紀)の建国神話に登場する ローマの建設者レムスとロムルスの双子の兄弟。叔父の王によってテヴェレ川にすてられ狼によって育てられたと伝えられる。今回の出展はレプリカ(複製品)。

つづいて今回の展覧会の目玉となっている、    カピトリーノのヴィーナス

カピトリーノのヴィーナス

古代ギリシャの彫刻家プラクシテレスの女神像(紀元前4世紀)に基づく2世紀の作品。ミロのヴィーナス(ルーブル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィツィ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作。

豊田先生のお話では、ヴィーナスの髪は本来は金髪に彩色されていたのではないかという。その痕跡が若干残っているようでもある。いつの時代かに削られてしまった可能性もあるとのこと。(日本の仏像でも当初は極彩色だったものが、経年変化で現在の姿になっていることを考えると共通するものを感じると)

コンスタンティヌス大帝の巨像、の頭部
-ローマ文明博物館蔵-

キリスト教を公認したことで有名なコンスタンティヌス大帝の巨像の頭部(ブロンズ)だ(今回、レプリカ)。頭部だけでも1.8mあり、その巨大さが想像できる。頭部のほかには左手、左足(いずれも今回、レプリカ)が見つかっているが、胴体部分は未発見である。胴体はブロンズではなく大理石という説もあり、後年に他に転用されてしまったのではないかとも言われているそうだ。

同 上 の、左足と頭部

もう1点ネット検索から、古代ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスの肖像。

初代皇帝アウグストゥスの肖像

今回このアウグストゥスの肖像のほかにも、ガイウス・ユリウス・カエサルの肖像、トラヤヌス帝、ハドリアヌス帝、カラカラ帝ほかの肖像等、多数の出展品を観ることが出来る。

今回これらの彫刻作品とあわせて、絵画館のほうからも多数の作品が出展されている。豊田先生の感想では、カラバッジオの「女占い師」「洗礼者聖ヨハネ」(幼い時期のヨハネ)の2点が必見とのことだが今回は残念ながら来日していない。そこでここではそのうちの一点「女占い師」をネット検索から紹介しよう。

女占い師:カラバッジオ

左の女占い師は、手相を見るふりをしながら右のうぶな青年の指輪を抜き取ろうとしているところ。カラバッジオはイタリア・バロックを代表する画家であるが、かなりやんちゃな性格で賭けごとをして刃傷沙汰をおこしたり人を殺してもいる人物。警察から逃れるために点々と活躍の場所を変えていたともいわれる。(なおこの「女占い師」には同じ画題の作品がフランスのルーブル美術館にもある)

イタリアには是非また行ってみたいと思っているが、その際にはこのカピトリーノ美術館ほかの、美術館、博物館にも足をのばしたいところだ。

参考に、今回の「永遠の都ローマ展」のホームページを以下に。

roma2023-24.jp

こちらはカピトリーノ美術館の公式ホームページ (イタリア語)

www.museicapitolini.org

カピトリーノ美術館(広場の右手)
-後背に、フォロロマーノ

イタリア旅行記(2002)本編も是非ご覧ください。

t49takachan.hatenablog.com

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