ス ペ イ ン旅行記(付 カタールW杯観戦記)その⑥(マドリード、トレド)

ス ペ イ ン旅行記カタールW杯観戦記)その⑥(マドリード、トレド)

平成25年(2013年)8月17日~24日

記録:令和4年(2022年)11~12月 

追記(トレド):令和5年(2023年)9月

(22日)スペインの首都マドリードの人口は500万人、今日は比較的涼しい。バスにて王宮のわきを抜けて、プラド美術館へ。ここは歴代スペイン王家のコレクションを中心に展示する、世界有数の美術館である。深い赤と黒が印象的なエル・グレコ、ベラスケスの最高傑作といわれる「ラス・メニーナス」、ゴヤの有名な「裸のマハ」「着衣のマハ」、色彩の画家といわれるルーベンスの「愛の園」、ボスの「快楽の園」、ソローヤ、ムリーリョ、・・・・・・・    (ネット検索)

プラド美術館

フランシスコ・デ・ゴヤ 「裸のマハ」

ベラスケス「ラス・メニーナス

ピーテル・パウルルーベンス 「愛の園」

美術館の所蔵作品は、油彩画8000点以上、約1000点の彫刻、約4800枚の版画、約8200枚の素描という。展示されているのはその1割ほどで、他の美術館へ貸与されているものを除き大半の作品は保管されているという。鑑賞できた作品の数はほんのサワリ程度ではあったものの、世界的にもまた歴史的にも有名な作品の「実物」をこの眼で観ることができたという感動は、やはり何物にも代えがたいものがある。

 続いてソフィア美術館(ソフィア王妃芸術センター)へ。こちらは20世紀の近現代美術を中心に展示されている。ちょうど「ダリ展」を開催中。スペイン内戦の悲惨を描いたピカソの大作「ゲルニカ」は1982年にスペインへの里帰りを果たし、当初プラド美術館別館で展示された後こちらへ移された。はじめは4cmの厚さの防弾ガラスの中に収められていたものの、今はナマで観ることができるようになったとのことであった。

ソフィア美術館

パブロ・ピカソ ゲルニカ

昼食はPLATO&PLACERというポップなレストランで。光あふれる、グリーンとオレンジの内装の明るいお店だ。それにしても、スペイン料理にハズレなしだ!! 午後はトレドの街へ向かうグループと、自由行動グループに分かれることに。誰の言葉だったか、スペイン観光に1日だけ行けるとしたらどこへ行くか?それは迷わず「トレド」だ、という。そうと聞いては是非とも行ってみなくては・・。はたしてトレドは素晴らしいところであった。

まずトレドの街へ向かう途中の展望台から俯瞰する、トレドの街並みの美しさに脱帽。 ここは旅行代理店推薦の、「世界の展望台100選」にも選ばれているそうだ。なるほど納得だ。世界遺産トレドの旧市街は、迷宮のように細い坂道がめぐる中世の街だ。とはいっても街の入り口にはエスカレーターが完備されていて地元の方はもとより観光客も助かる。シエスタ中なのか、街なかには人影が少ない。時おり自動車が狭い坂道を通り抜けていく・・・。     

三方をタホ川に囲まれた、トレドの街並み
(対岸の展望台より)

エル・グレコの大作「オルガス伯爵の埋葬」が飾られているサント・トメ教会へ・・・、「この作品は撮影禁止です」とガイドさん(・・・が言った時には、すでに撮影済みでした。ゴメンナサイ) トレド大聖堂には、これもエル・グレコの描いた絵画「キリストの聖衣剥奪」、ゴヤの「キリストの逮捕」などが展示されている。

トレド大聖堂

大聖堂内部の、ステンドグラス

教会の静かな空間にステンドグラスから明かりが差し込む中で、パイプオルガンの荘厳な音色をバックに鑑賞する名画の数々。そこでは美術館とはまた違った、心に残る印象を感じた。旧市街では、象眼細工のお店に立ち寄った。装飾品~武具、刀剣類などを対象にした、細かくて美しい細工の実演を間近に拝見することができた。

象眼細工の職人

(追記)NHK文化センター町田教室講座「サンティアゴ巡礼と異文化接触キリスト教美術とイスラム美術」講師:玉川大学教授小倉康之氏(2023.9.26)より・・・トレドという街もかつてはイスラム教勢力に征服され、その後レコンキスタを経て再びキリスト教世界へ戻るという歴史を辿ってきた。そのためコルドバのメスキータと同じく、モスクからキリスト教会へと変ぼうした建築物が存在する。その代表例がトレドのクリスト・デ・ラ・ルス聖堂だ。もとは西ゴート族の聖堂の跡地に建てられた(999年)モスクであったが、その後キリスト教の教会として利用された。

レコンキスタの歴史はキリスト教徒とイスラム教徒との異教徒同士の戦争の歴史であったが、同時にこれを文化的側面からみれば むしろ異文化同士の共生の歴史としてもとらえることができるのだ。      (今回のツアーでは訪ねる時間がなかったが、トレドのもう一つの名所として・・・)

クリスト・デ・ラ・ルス聖堂
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同上、内部のアーチネット
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(さて、カタールW杯決勝トーナメント1回戦が始まった。日本の相手は前回ロシア大会準優勝のクロアチアだ(12月6日)。前半終了間際にコーナーキックからの前田(大然)の待望のゴールで日本がリードしたものの後半に追いつかれ、延長の結果1-1の同スコア。PK戦の結果、1-3でクロアチアに軍配があがった。

おしかった、三苫のドリブルシュート(TV画面より)

 日本の戦いぶりについて、クロアチアのエース:モドリッチの言葉から振り返ると、「日本はとても良かった。なぜドイツに勝てたのか、なぜスペインに勝てたのか、その理由をこの試合でも示していた。彼らは非常に高いクオリティを見せていた。だから非常にタフなゲームだった。PK戦ではどちらにも転ぶ可能性がある。でもクロアチアはより強い信念を持っていた。だから私たちは勝ち進むに値すると思う。しかし、日本は素晴らしいチームだ。彼らが今大会でやったことすべてを称賛したい。」37歳で今も世界屈指のMFとして君臨するモドリッチ(現在、スペイン:レアル・マドリード所属)の言葉である。日本のBEST8以上という目標の実現は次回以降に持ち越しになったが、必ずや実現されることを信じよう!)

ロッカールームに残された、折鶴

つづく(次回、マドリードⅡ)