沖縄旅行記 その⑥(番外編Ⅱ:2000年沖縄サミット会場、警備関連事業 採用テスト)

沖縄旅行記 その⑥(番外編Ⅱ:2000年沖縄サミット会場、警備関連事業 採用テスト)

平成11年(1999年)~平成12年(2000年)

記録 令和6年(2024年)8月

takachan

平成11年(1999年)8月、沖縄サミット会場 後背地(対象地)の状況を確認するための現地調査が 開始された。

赤いラインが、センサ敷設予定地(2000m)

現地の状況は、想像を超えるジャングル状の傾斜地であった。大きな蚊(*)に備えて蚊取り線香を腰からぶらさげ、万一ハブに遭遇した場合に備えて長めの棒を杖代わりにして、延長2000mの計画想定ラインを踏査した。

*沖縄の蚊🦟は一回り大きくて、刺されると猛烈に痒くあとが腫れて厄介だった。しかも分厚いズボンの上からでもお構いなしに刺してくるという、油断ならない相手なのだ。

次の写真は、右のケモノ道から左側へ「ブッシュ」が拡がる状況。

現地、ブッシュの状況

確かに「赤外線」でのセンサシステム構築は「不可能」な状況だ。ここはKS社の実力を発揮する大きなチャンスの到来であった。

検討の結果、今回提案することになったのが「ワイヤーセンサシステム」であった。

これは一定間隔で地中に埋め込んだ「杭」を、横方向に「ワイヤ(2本一組のメッセンジャーワイヤー*)×3セット」でつないだ「柵(さく)」状の「センサシステム」である。センサとなる「導体」は、この場合 鋼線を被覆した「メッセンジャーワイヤー」だ。

(*メッセンジャーワイヤー:ケーブルに張力がかからないようにする為の吊線)

ワイヤーセンサシステム、模式図

見た目は何らかの目的のための「侵入禁止」用の 「柵(さく)」として施工し、これを超えようとして人間が「ワイヤ」に「触れ」、あるいは「押上げ」、「押下げ」「切断」したりした場合に「発報」するというシステムである。

風による「揺れ」「雨」「樹木の枝葉の接触」「小動物の接触」などの外乱要因には反応しない。

ワイヤに触れないように侵入するためには「走り高跳び」をするしかないが、ワイヤの「高さ」と現地の 状況から考えて「走り高跳び」はまず不可能である。

また「侵入禁止」のカモフラージュ上の名目は、この先「ハブに注意」ということにして、ワイヤに「プレート」をぶら下げることとした。

沖縄ではよく見かける、ハブに注意 看板

こうして完成した「試作第一号」を使用して、警視庁に対する「デモンストレーション」ならびに「検証実験」をする場が設定された。

サミット開催年に入った平成12年(2000年) 3月、豊洲にある警視庁機動隊の訓練基地において、基地内の樹木を杭にみたてて約5m程度のワイヤによる「柵(さく)」をその場で設置、検証実験の開始である。

まずは担当のM山警部補ほかが、実際にワイヤに「触れたり」「乗り越えたり」して「発報」することを 確認。つづいて、考えられる外乱要因の確認に入る。

何をするのかと見ていると、機動隊基地の隅に駐車していた放水車が動き出しワイヤに向かって突進してきた。「まさか?」と思う間もなく、放水銃をこちらへ向けていきなり強烈な放水だ!

「ジャァ―――!!」とこれでもかと遠慮のない強烈な放水負荷がかかる。

・・・「放水やめー!」の掛け声で終了。誤発報は、「なし!」

大丈夫とは思いつつも、イキナリの放水攻撃にビックリした分、ホッと胸をなでおろした。

「良―し、合格!」の言葉をいただく。もちろん、 「木の枝葉」などでこするようなストレスをかけても「発報」しないこともあわせ確認。これをもっていよいよ採用が決定し、本番への準備開始だ。

つづく、次回その⑦(番外編Ⅲ:2000年沖縄サミット会場、警備関連事業 現地敷設)

(KS社は、現在(2024年)は営業しておりません) 

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