沖縄旅行記 その⑤(番外編Ⅰ:2000年沖縄サミット会場、警備関連事業 準備作業)

沖縄旅行記 その⑤(番外編Ⅰ:2000年沖縄サミット会場、警備関連事業 準備作業)

平成11年(1999年)~平成12年(2000年)

記録 令和6年(2024年)7月

takachan

それではtakachanが、会社(以下KS社という)の新規事業として携わった「新型センサ」事業の具体的成功事例として、「2000年沖縄サミット」における警備システムのお話をしてみよう。これはまさに「国家プロジェクト」での成功例だ。

沖縄サミット ロゴ

最初にやや専門的になるが、新型センサ(新型人感センサシステム)の二大特長について説明してみよう。

特長その1)従来屋外で使うセンサとしては、既存の赤外線センサなどは「誤動作の多さ」がネックとなっていた。新型センサは屋外でも誤動作が極めて少なく、正確な人体検知が可能だ。例えば降雨、降雪、温度、湿度の変化、電波ノイズや妨害電波による誤動作が極めて少なく、安定動作する。また、昆虫・鳥類などの小動物や、草木、木の葉を感知せず、人体にだけ反応するように感度等を設定可能。

イメージ

特長その2)導体(伝導体)そのものをセンサ化する技術。例えばガードレール、金属手すり、金属バリケード等、導体であれば丸ごとセンサ化できる。「まさかこれがセンサ!?」という効果が狙え、侵入防止などセキュリティ面でセンシング妨害の心配が極めて少ない。

平成11年(1999年)、KS社ではこの優秀な「人感センサシステム」の売込み先を探して多方面に営業活動を開始した。その中で「セキュリティ分野」における大きなターゲットとして「警察関連」に様々なルートを通じてアプローチした。

その結果、同年6月警視庁から「可能性」を打診されたのが、翌年(2000年)7月に予定されていた「沖縄サミット」での警備システムであった。

九州・沖縄サミット 新聞記事

「サミット」(2000年は、G8)は1975年フランスで第1回が開催されて以来、毎年各国の持ち回り開催となっていて、日本では過去1979年、1986年、1993年の3回東京開催の実績があった。

東京開催時の警備システムの構築については、警視庁によって十分な体制作りがなされた実績があるものの、今回の沖縄開催に際しては、沖縄という立地に特有の問題も多々あり、また経験のなさもあってとても沖縄県警単独で請け負えるものではないという。

そこで警察庁、及び警視庁が中心となって全国の県警からの総動員体制が組まれるということであった。

沖縄県

今回のサミットで2000年の7月21日~23日に首脳会談が行われる主会場「万国津梁(しんりょう)館」は、沖縄県名護市の「ブセナリゾート」内に建設されており、県庁所在地の那覇市からは国道58号線(*)を車で約1時間の、沖縄県中部の名護市に位置するブセナ岬の突端にある。

国道58号線鹿児島市~種子島~奄美大島~沖縄(国頭村~名護市~嘉手納町~那覇市

国道58号線沖縄県内)

ブセナ岬(赤印部分)

万国津梁館(ブセナ岬)

万国津梁館 配置図

万国津梁館

サミットの最重要拠点となるこの「ブセナリゾート」を警備するシステム・体制の立案は、東京から派遣される「警視庁」の担当ということであった。

警視庁警備部でその責任者の大任にある、MM装備専門官との打合せがはじまった。MM氏は警視庁・装備畑の専門家で、ノンキャリア出身のたたき上げの方であった。

そんなご本人は、いたって低姿勢なやさしいお人柄の方であったが、そのお顔は、まさしくこれが「警察」というイメージの厳(いか)ついお顔。

大きなお鼻の、どこか鉄腕アトム生みの親「お茶の水博士」をグッとこわくしたような・・・。部下のM山警部補いわくこれぞ「顔面警備」とか・・・。

御茶ノ水博士

ブセナリゾート周辺の状況をみると、沖縄本島から 西側に突き出した岬の突端に位置するため、その大半は海に囲まれている。この会場を、仮に「過激派」が狙うと仮定した場合、最長の飛距離が約2kmほどになる迫撃砲状の武器になるだろうとのこと。

海側の警備については海上保安庁の担当で、会期中は複数の巡視船がくまなく配置されるとのことで、海からの攻撃はまず考えにくい。

巡視船

潜むとすれば、岬の根元を南北に走る国道58号線の東側にある陸地部分であるが、その一帯は沖縄特有の草地、すなわちブッシュであった。

会場から半径2kmの円を描くと、このブッシュの中に引かれる線の延長距離は約2000m。ついてはこの2000mの円の中に入ろうとする「過激派」だけを「検知するセンサ網が、出来ますか?」というご下問をいただいたのであった。

赤ライン(センサライン)

このブッシュの中で、仮に既存の「赤外線センサ」を使ってセンサ網を作ろうとしても、おそらく沖縄特有の風雨を伴う「スコール」や、「小動物」などのために、誤動作による「発報」をしっぱなしの状態となり、まったく使い物にならないハズ。

そのためこの2000mについては、「会期前の数日+会期中の三日間」、昼夜問わずの警察官による 「巡回」をするしかないのか!?と、警視庁内部では頭を抱えていたところなんですよ、と。

これをKS社の「新型センサ」で構築可能なのかどうか?是非とも検討してご提案いただきたいということなのであった。これはヤリガイのあるお話だ!是非とも成功させよう!われわれKS社のスタッフ一同、 俄然張り切って知恵だしを開始した。

おまけ

それではここで、お世話になったお茶の水博士にちなんで「鉄腕アトム」の主題歌です❗️

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つづく、次回その⑥(番外編Ⅱ:2000年沖縄サミット会場、警備関連事業 採用テスト)

(KS社は、現在(2024年)は営業しておりません)

takachan